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~働きやすい介護職場づくりの工夫~
4-2.理念と目標を明確にして共有すること

介護施設の入口に、施設の理念が掲げられているのを目にします。理念というのは、“基本的人権を尊重し~”とか、“人間の尊厳を守り~”などの文言です。これは介護施設の基本的な姿勢、立ち位置のようなもので、すべての業務の根幹です。いちばん大切なものです。そのために施設の入り口など、目立つところに掲げてあるのです。

目標というのは、理念を実行可能で検証可能なことばに発展させたものです。理念というのはどちらかというと抽象的な言葉で、いろいろに解釈できてしまいます。それをスタッフたちのあいだで、具体的にどんなことを実践したらよいか、はっきりさせたものが目標です。年に○回は利用者に旅行をしてもらおう、とか、利用者には敬語を使おう、とかいうようなものです。

理念と目標が明確だと、スタッフは何のために何をしたらよいのかがはっきり分かります。自分の仕事が理念や目標に沿っているのならすればよいし、沿っていないのならしないのです。自分の仕事が、理念や目標に沿っているのかいないのか分からない、あるいは不鮮明だと、仕事の裏づけがないので不安がつきまとい、仕事の意欲や質は落ちます。ですから、理念や目標は明確なほうがよいのです。

そしてスタッフたちが理念や目標を共有できれば、同じ思いで、同じものを目指せて、足並みをそろえて仕事ができるようになります。逆に、チームで理念や目標が共有されていないと、ばらばらになります。

野球やサッカーチームであれば、すべての選手は優勝という目標を共有します。各選手はそれぞれに独自の目標を持っていたとしても、それ自体が優勝を目指してのものですから、違いながらもひとつです。そうでないと、チームは団結できなくなり弱体化します。介護施設も同様に、自分たちのチームが何を目指して仕事をするのか、できる限り明確にしておかなければなりません。そうやってチームが弱体化しばらばらになるのを防ぎます。理念と目標が定められているのはそのためです。

 

チームで理念や目標を共有するために、次のような手順を実践していきます。

 

実践1.スタッフ個人の理念を書く

スタッフにそれぞれ、介護者としての理念を書かせます。介護者としての心情や信念のようなものでかまいません。自分がどんな立ち位置で、どんな姿勢でいるのかを書くのです。

突然書けといっても、すぐには書けないかもしれませんが、それは理念がないということではありません。理念が分からないだけで必ずあります。誰かが書いたものを参考にしてもかまいません。長文にならないように、せいぜい200文字以内を目安にしてください。そうやって、スタッフ自身が、自分がどんな介護者でどんな姿勢でいるのかを知るのです。

 

実践2.スタッフ個人の目標を書く

スタッフたちが書いた理念に基づいて、介護者としての目標を書かせます。これも、インターネットなどで誰かが書いたものを参考にしてもかまいません。理念が抽象的であるのに対して、目標は具体的なものにしてください。つまり、「安心安全」とか、「心を込めて~」とか、「一生懸命~」というような表現ではなく、「丁寧な言葉遣いをする」とか、「笑顔で利用者に接する」など、行動に移せる、振り返れる言葉を使います。

また、目標には、「~していただく」というような、相手がすることではなく、「~をする」というように自分がすることを書いてください。

目標を吟味している際に、掲げた理念が訂正されてくる場合もあります。①に戻ることになりますが、時間をかけて完成させてください。そうやって、自分がどんな気持ちで何をしようとしているのか。介護者としての自分のスタンス、立ち位置が自覚されていくのです。

 

実践3.グループに発表する

次は、グループ学習です。スタッフたちが個人で掲げた理念と目標を、スタッフが所属するグループ(ユニット)のメンバーの前で発表します。だいたい10名前後でしょうか。発表を聞いたスタッフたちは、発表者の掲げた理念と目標を理解してください。分からないことは質問をしてください。ただし、賛否や評価をしてはなりません。ただ発表者が何を言っているのかを誤解なく理解することを念頭に置いてください。

そうすると、発表を聞いたスタッフたちは、発表者に対して、「この人はこういう言いかたをするんだな」とか、「この人の見識はなかなか深いなぁ」とか、理解が深まるのです。それはスタッフどうしの懇親の機会と同時に、スタッフたちが伝えたいことを伝える訓練にもなります。

 

実践4.チームの理念を作る

スタッフたちの発表がひととおり済んだら、それらを集約して、こんどはグループの理念を定めます。おおむねスタッフたちが発表した理念の最大公約数的なところがチームの理念になるはずです。チームの理念の作成に際しては、すべてのスタッフが協議に加わってください。一人の反対者も出さず、すべてのスタッフが了解できる内容にしてください。出来上がった理念も大切ですが、みんなで協力して理念が出来上がるまでの課程が大切です。

その際、チームの理念が法人の理念と相反するものになってはなりません。

 

実践5.チームの目標を作る

チームの理念ができたら、その理念に基づいたチームの目標を定めてください。②と同じです。

そのようにして出来上がった目標は、介護の仕事に反映されていきます。

このようにして、スタッフたちがみんなで共有できる理念と目標を作ることで、自分たちがそれぞれに違っても、チームとしてはひとつであることが理解できるようになります。