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~働きやすい介護職場づくりの工夫~
4-4.原則と規則を混同させないこと

介護施設には無数の決まりごとがあります。就労規則や介助に際しての決まりごとです。利用者のお世話はどんな手順でどのように行うのか。記録はどのようにつけるのか。そのような日常の仕事をスタッフたちが勝手にやってしまっては、まとまりがつかなくなってしまいます。ですから、決まりごとを作り、それをみんなで守らなければなりません。

 

その際、決まりごとを大きく三つに分類してください。決まりごとの内容のことではありません。決まりごとには、「規則」と「原則」があります。この違いを理解してください。なぜ分けて理解する必要があるのかは後ほど述べることにして、まず三つの種類について考えてみましょう。

規則

まず規則についてです。規則というのは、決められた方法で決められたように実践するものです。アバウトであってはなりません。決められた方法以外は認められず、スタッフの行動を一番強く制約するものです。

例えば、薬の服用についての決まりごとです。医師から、どの薬をいつどれくらいの量飲んだらよいのか決められた場合、それは正確に実行すべきで、スタッフが勝手に変更してはいけないものです。あるいは、就業規則について、スタッフには始業時間が当然決められていますけれども、これに一分でも遅れれば遅刻の扱いになりペナルティが生じます。だいたい何時ころなどというあいまいな始業時間というのは基本的にありません。出勤したのだから多少遅れてもいいだろう、とはなりません。

 

規則は、工夫する能力や、臨機応変な判断力があるスタッフにとっては、その余地を与えない窮屈な決まりごとです。一方、未熟なスタッフにとっては、工夫も必要ないし、何も考えないですむので、楽な決まりごととも言えます。

あまり規則を重視しすぎると杓子定規で融通の利かないスタッフが現れます。医療や法律に関する規則は別ですが、規則はスタッフたちの知恵や工夫をいかす余地が少なくなるので、決まりごとの中ではできれば必要最小限にとどめられるのが理想です。

原則

原則というのは、ある目的を達成するために、一定の条件の範囲内で自由に判断や行動ができるものです。通常の業務のほとんどは原則にしたがってすすめられるものです。

規則よりも制限はゆるいですが、自分で臨機応変に判断する能力が求められます。

例えば、利用者のオムツを交換する時間が決められていても、失禁があるのなら、決められた時間でなくても交換します。オムツを交換する時間は原則です。利用者の入浴曜日が決められていたとしても、状況によっては一日早まったり遅れたりすることがあるかもしれません。一定回数の入浴は必要不可欠ですが、日程は規則でなく原則です。あるいは、利用者の部屋の掃除をする場合、掃除をして利用者の部屋をきれいにする必要はありますが、床掃除をするか、それとも窓拭きをするか、戸棚の整頓をするか、はじめから固定せず、スタッフが状況に応じて変えられるというものです。今日は窓掃除の日だから、どんなにきれいでも窓を拭きます。とはなりません。

 

原則は、規則と比べて制限が少なく幅があり、自由に判断や行動ができます。同時に、状況に応じた判断力が求められます。融通を利かせなければならないということです。日常の業務は規則よりも原則にしたがって進められるのが理想的です。利用者の状況や、施設やユニットの状況は変化しますから、規則だけでは対応できません。床が汚れていて窓はそれほど汚れていないのに、窓掃除をするという規則を作ってしまったので、窓掃除をしなければならず床は掃除しませんでした。というのは規則の弊害です。また、規則を重視するあまり、あらゆる事態を想定して細かい規則を次から次へと作ってしまい、スタッフたちが萎縮する。規則ばかり気にして状況判断をしなくなるという弊害は、原則という考えで防止できます。

 

掃除をするという原則を作り、あとはスタッフたちがその場で判断して窓なり床なり汚れの目立つところを掃除すればよいのです。もしかしたらカーテンを掃除するかもしれないし、蛍光灯カバーを掃除するかもしれません。原則というのは、スタッフの個性や判断力が活用されます。

 

なぜ分けて理解するのか

管理者はスタッフたちに、原則と規則を混在して伝えることのないようにしてください。

「これは絶対守ってね」、という決まりごとは規則。「やりかたは任せるからちゃんとやってね」、という決まりごとは原則です。

原則と規則が定まっていないと、スタッフたちがそれを勝手に決めてしまいます。管理者は規則のつもりでも、そう伝わらなかったために、アバウトに対応されて、結果としてスタッフたちの中に規則を守らないものが出るのはそのためです。逆に、原則を述べたつもりでも、規則として受け取られ、杓子定規に融通の利かないスタッフが出ることもあります。

 

このような理解が周知されて、規則と原則がはっきり分かれていると、スタッフたちの間で業務の優先順位がはっきりして、仕事がやりやすく、スタッフたちが迷ったり、チームが混乱するのを防止できます。ここは決められたとおりにやる。ここは自分で考えてやってもいい。ということがはっきりするので迷わなくてすむのです。