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~働きやすい介護職場づくりの工夫~
3-1.高度な職務に管理者の能力が追いつかないため

介護施設におけるチームケアのかなめは管理者、つまり施設長です。スポーツチームでは監督にあたります。じつは、管理者はたいへん高度な役割を担っている厳しいポディションにいます。管理者本人はもとより、スタッフたちは、管理者が担っている役割の厳しさを理解していなければなりません。

 

管理者は、介護保険制度や所属法人の理念、例えば、”利用者さまの安心と生きがいを~”というような、理念として掲げられた言葉を、実際の介護現場でスタッフたちを指揮して、具体的に利用者へのサービスとしてかたちにしなければなりません。

 

つまり、理念や制度のような抽象的な言葉を、実践に移せる具体的な言葉に置き換えなければなりません。”利用者さまが安心して暮らせるサービス”、といった理念を掲げたところで、それは抽象的なので、具体的に誰がいつ何をすれば、”利用者さまが安心して暮らせるサービス”になるのかをはっきり言葉にさせなければならないということです。明らかになった言葉がスタッフたちの業務になるわけです。なかには、本部からやってくる現場経験の少ない上司から、机上の空論ともいえそうな抽象的な理想論を聞かされて実践に移しようがなくてお手上げになっている管理者の苦悩を聞くこともあります。

 

管理者は、抽象と実践のかなめ、理想と現実のかなめにいるのです。はざまといってもいいかもしれません。これはたいへん高度で難しい立場です。

 

そのうえ管理者は、上記のような厳しいポディションのもとで、若いスタッフたちを教育し、気難しいベテランスタッフをまとめて、チームを運営していかなければなりません。利用者やその家族から苦情や要望があれば責任者として対応しなければなりません。必ずしも現場に十分に通じてるわけではない上司の要求にも応えなければなりません。複雑な書類はわずかなミスでも送り返されてしまいます。空室があれば一刻も早く埋めなければならず、決済日ごとに経費の節減に迫られます。昼夜を問わずスタッフの人手不足を自ら埋め、会議や研修に招集されれば出向いていかなければなりません。

 

複雑で未完成な介護保険制度やそのシステムのもとで、不完全な管理者自身が、不完全なスタッフたちに囲まれて、成果だけはシビアに求められるのですから、現実的にはチームケアどころではありません。

 

そのような事情から、チームの監督である管理者が、現状で手一杯なため、チームケアを目指した取り組みを始める余裕がない、ということがチームケアになりにくいひとつの原因です。